DNA浪漫紀行 第10話

生き物はDNA の乗りもの?

「利己的な遺伝子」からみた生物の進化とは?

生物は地球上で38 億年かけて、数100 万種に進化してきました。
今の科学では、親から子へ受け継がれる生物の設計図は、遺伝子DNA であることが分かっていますが、生物の進化をこの遺伝子DNA から眺めるとどうなるでしょうか?
リチャード・ドーキンスの著した「利己的な遺伝子」を参考に紹介したいと思います。

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もともと遺伝子DNA は複製能力を持ち、原始の海でむき出しで存在していました。
やがてこのDNA はタンパク質を作れるようになり、さらに自分の周りに膜で包まれた入れ物、つまり「細胞」を作るようになりました。
この細胞は次第に別の細胞と共生したり、寄り集まったりして、しだいに「生物」というDNA の入れ物が作られたと説明されています。
悠久の歴史の中で、さらにこの生物のDNA は配列が変化したり、別のDNA が出入りしたりしながら、多彩なDNA へと増えて行きました。
その結果として、次世代に残りやすい設計図を獲得したそれぞれの遺伝子DNA が、生物の集団や種として、進化を遂げてきたという訳です。

ダーウィンは「種の起源」という書物の中で、「生物は常に変化し、様々な環境に適応した種が自然選択を受け、分岐して多様な生物が進化してきた」と唱えました。
ダーウィンは、この自然選択を受けるのは「個々の個体」で、生存に有利な個体とその子孫が生き延びやすかったと捉えていました。
ところが、「利己的な遺伝子」では、個々の個体よりも、遺伝子DNA が集団として生き延びるのが優先だと考えられています。

これはミツバチの世界を例に分かりやすく説明されています。
ミツバチの中には、子供を作らず、ひたすら女王バチや幼虫を世話する働きバチがいます。
彼らの献身的な行動は、働きバチ自身やその子孫が生き延びることにはつながらないのですが、同じ親から生まれた遺伝子DNA が集団として広がっていくことになるので、とても重要な意味があるというわけです。

こうしてDNA から生物の進化を眺めてみると、DNA 自体が意思を持っているわけではありませんが、実は生物はDNA の乗り物に過ぎず、生物の身体を乗り継いで連綿と進化してきたのは、遺伝子DNA であるとも考えられます。
DNA が地球上に現れてから、⾧い時の流れの中で少しずつ変化をしては自然選択され、現在の数100 万種もの乗り物(生物)が形作られて来ました。
生物の個体はその都度途切れてしまいますが、遺伝子DNA は、途切れることなく数10 億年の間、私たちの体の中に受け継がれているのです。

そう考えると、大切なペットたちのからだの中で連綿と旅を続けて来た遺伝子DNA を遺してあげることも大切な供養かもしれませんね。

参考図書
「利己的遺伝子から見た人間 愉快な進化論の授業」2012 年 PHP サイエンス・ワールド新書 小林 朋道
「進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義」2016 年 ハヤカワ文庫NF リチャード・ドーキンス
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投稿日:2019年11月25日 更新日:

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